とんとむかし。
ここ有馬には峯道沿いに大きな沼があったと。
峯道を通り、沼に影が写った者を大蛇がげろりと呑み込み、村人はたいそう困っていたそうな。
とうとうお大尽宗右衛門の娘おせんが大蛇に呑み込まれてしまい、悲しみにくれた宗右衛門は村人を集めてこの大沼を埋める事にしたんだと。
土を埋めても埋めてもなかなか埋まらぬ大沼がもう少しで埋まると言う時に大嵐が吹き荒れ、大沼から青い光が空高く舞い上がり、崖にぶつかって消えだんたと。
大蛇が逃げたに違いないと誰もが思ったと。
しばらくして、またもや大嵐が吹き荒れ、崖が崩れたんだと。
崩れた崖から大蛇の白骨が出てきて、村人たちはそれを手厚く葬り、崖に祠を建てたんだって。
大沼のあったあたりは、影取谷戸と呼ばれ、今ではその名残りの石柱がぽつんと立っています。
大蛇の白骨が出てきた崖は、福王寺あたりと言われています。 (宮前区歴史ガイドまち歩きより)
秋晴れのお散歩に、歴史に思いを馳せて有馬を散策してみてはいかがですか?
中村まゆみ