いつも通りに

先日、ジュニアアスリートとお話しする機会がありました。
年齢よりずっと大人びた、落ち着いた雰囲気の小6のY君。
サッカーの県選抜チームの代表選手だそうです。

今まででいちばん緊張したことについて聞いてみたら、
「PKで10人目に蹴ったとき。
キーパー以外全員蹴り終わってて、
僕が止められて相手が成功したら負けちゃうっていう場面です。」
とのこと。
このときY君は見事に成功し、
チームの勝利につなげられたそうです。

PKは見ているだけでも緊張するのにすごいなあと思い、
「緊張しなかった?成功できた秘訣って何?」
と質問してみました。
答えは、
「緊張はしてました。
でも僕は自チームのキャプテンなので、
必ずいちばんプレッシャーのかかる場面で蹴ることになります。
いつも蹴る方向も歩数も決めて練習してるから、
本番もいつも通りにやるだけです」。

スポーツ医学のメンタルの専門家、順天堂大学の小林弘幸教授が
「アスリートが結果を出せない最大の原因は、
才能や練習量ではなく、普段通りの力を本番で発揮できないこと」
と著されています。
「いつも通り」のパフォーマンスをあげるのは
大人でも難しいようです。

「どんな場面であれ、
目の前にあることを、
いつもと同じようにやる」。
これができるY君が大人びているわけだなあと思いました。

Junko Yokose
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